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ふるさとプロデューサー育成支援事業

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研修レポート
諸﨑 そよか さん

株式会社ライヴスでのOJT
波照間島での小中学生および、大人向けワークショップの開催報告書

私の研修先である株式会社ライヴスは、「ミナオス、ツタエル、トドケル」の3つを軸に地域活性にかかわる幅広い業務を行う企業です。業務内容もロンドンでのセレクトショップの展開、地域と連携した商品開発、そして自治体の観光振興計画策定サポートまで多岐にわたります。今回は、日本最南端の有人島・波照間島で開催した3つのワークショップについてご報告します。
島民の本音から生まれた、話し合いの場
まずはじめにこの事業は、「ワークショップを行う」ことが目的ではなく、竹富町役場政策推進課から依頼された「調査事業」から派生して生まれたものだったことをお伝えしておきます。波照間島は1日に3便ある船がすべて大型化されたことで船の最大乗客数が増え、観光客の増加が予想されています。島民や観光事業者はそのことをどのように思っているのか。ライヴスでは事前に半年もの時間をかけてアンケート調査を行なっていました。

私が参加したのは集計作業からですが、個人的にこの結果は驚くべきものでした。どんな地域でも、観光客が訪れてにぎやかになれば、雇用が生まれ住民が幸せになれると信じていた私。しかし多くの島民が望んだのは、観光客増加による経済の活性化ではなく、島の雰囲気を守ること。農業中心の島だったこともあり、観光事業の重要性も感じる回答は少なく、島外から訪れる人に対する厳しい意見も見られました。そこで考えられたのが、島民同士で理想の未来について話し合う、ワークショップでした。
いざ、波照間島へ
波照間島へは石垣島から船で数時間。朝1便に乗るために前日から石垣島で業務を行いましたが、前日はすべて船が欠航。これもまた波照間島がかかえる問題です。波が高く、冬は2便・3便が欠航になることが珍しくないため、観光客が入島できても、帰りの便が出ないかもしれない。無事に出航できましたが、研修として向かう私としては島民の前に島に試されているような気持ちになりました。
小学生向けワークショップ
到着後、午前中は小学生を対象としたワークショップ。テーマは「たからの地図をつくろう」です。島外の人に伝えたいスポットと、自分だけのたからものを書き出し、大きな地図にぺたぺたと貼っていきます。最初は何を書くのか戸惑っていた子どもたちも、先生方のサポートのおかげで要領を得たようで、時間ぎりぎりまでMAPに色を塗ったり、たからものを書いた紙を追加したりと、教室は明るい笑顔でいっぱいになり、時間が足りないと感じられたほど。子どもたちのイキイキとした姿から、島での豊かな暮らしを想像できるようでした。
中学生向けワークショップ
中学生向けワークショップは、少し難易度の高い内容が設定されました。20年後に産業人口がどんな風に変化しているのかを予測し、そこから未来の新聞を作ります。「約500人の島民のうち、農家は何人?」「観光客が増えるから、サービス業も増える?」と、現実と理想のすりあわせを行っていきます。

2コマを使って仕上げた新聞は「石垣島までの橋がかかる」という、船の欠航が多いという問題を解決するもの、「シェアハウス」という空き家が少ないという問題に寄り添ったものなど、大人たちが抱える問題とリンクしているものがほとんどでした。あと数年で高校進学のために島を出てしまう中学生。当時の私と比べても、大人びているように見えました。

私は記録係として1つのグループに動画コメントをお願いしましたが、男の子が「島に帰ってくることもあると思うから、この新聞を見返したい」といってくれたことで、この事業の意味が届いていたことがわかり素直にうれしかったです。

また、発表後には校長先生からサプライズがありました。なんと21年前、校長先生が生徒と作った未来新聞が登場したのです。制作者には子どもたちも聞き覚えのある大人の名前がずらり。生徒たちも興味津々のようでしたこの日作った新聞はタイムカプセルに入れて大切に保管されるそうです。
大人向けワークショップ
会場には昼に行った小中学生のワークショップの結果を貼り、参加された皆さんに見ていただいたほか、会の最初には約半年間にわたる調査事業の結果を発表しました。その中で観光事業者の増加を伝え、観光客は島にとって必要であることを認識してもらい、ワークショップがはじまりました。

大人のテーマは、観光客に対して困っていることを可視化し、問題解決の糸口を見つけること。今困っていることをふせんに書き出し大きな地図に貼ることで、どこで何に困っているのかを明確にします。アイデアの起点が「困っていること」なので、観光客に対しての印象が悪くならないか個人的に心配でしたが、島民はとても前向き。解決策を話し合うフェーズでは、「手作りの看板を作ったらどうか」という自主性のある発言もあり、確実に新しい風が吹き始めたことを感じられる瞬間でした。
ワークショップを終えて
丸1日お手伝いをして、島民が島を思う強い気持ちに胸が熱くなるシーンが何度もありました。研修のため沖縄に住んで数ヶ月。県民の結束力の強さを感じると同時に、私のような外部の人間に地域活性ができるのかという疑問が常に付きまとっていました。

しかし、この日島民を理想の未来へ導いた風は、島の外に住む人だから吹かせることができた風。ライヴスの社員さんが島に何度も足を運び、悩みを直接吸い上げ誠実に対応してきた証です。また、最後にファシリテーターの先生がおっしゃった「観光客を選ぶ島になってもいいんじゃないか」という言葉も新たな発見でした。

時代はめまぐるしく変化していきます。「このままでいい」と見過ごすこともできますが、一度立ち止まり「これから、この地域をどうしていこうか」と話し合うことがどれだけ大切かを波照間に住む方たちを通して知ることができました。どんな離島や地域でも、「子どもたちにこんな未来を残したいね」と話し合う場が必要なのかもしれません。ほんの一瞬のかかわりでしたが、波照間島に20年後も変わらず明るい笑顔があふれていることを願って、このレポートを閉めさせていただきます。
お問合せ先

ふるさとプロデューサー育成支援事業(通称:ふるプロ)事務局 担当:内田/管野

TEL: 050-3733-2276