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ふるさとプロデューサー育成支援事業

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研修レポート
井ノ上 亜里沙 さん

株式会社四万十ドラマOJT研修レポートⅡ
衝撃②「元気なおかみさん達」

研修では、四万十ドラマと共に地域内外を盛り上げる様々な生産者や事業社を訪問し、現場視察や担当者の話を聞くだけでなく、作業を手伝うことも多くありました。その事業社の一つ「株式会社十和おかみさん市」では、約100人の四万十町十和(とおわ)地区に住む生産者が働き、その約8割以上は平均年齢60歳超の女性「おかみさん」です。
株式会社十和おかみさん市
十和地区に直売所兼事務所を設け、地採れ野菜や加工品の販売、おもてなしバイキングや体験ツアー企画など地域内外で精力的に活動し、H23に株式化した事業社です。

代表も「居長原信子さん」というおかみさん、働く人もほとんどが元気なおかみさん達、研修期間中は、信子さんを始め、たくさんのおかみさんに大変お世話になりました。「道の駅とおわ食堂」で行われている「おかみさんおもてなしバイキング」3回、「古城(こしろ)地区おかみさん出張餅つき」で現場研修を行っています。
おかみさんおもてなしバイキング
毎週水曜日は「道の駅とおわ食堂」の定休日です。その定休日である水曜日と平日に来られない方のために毎月最終日曜日におかみさんらが「道の駅とおわ食堂」を借りて「おかみさんおもてなしバイキング」を行います。

バイキングは、十和地域それぞれの地区で区分けされたおかみさん6~9人が、週替わりで前日の午後から材料の仕込み、水曜日早朝6時には加工場に来て、調理とおもてなし準備を始めます。

毎週100~150人のお客様が食事に来られ、年間で約1万人、昨年9月末には来場者10万人を突破した大人気のバイキング。11時オープンですが、開店前にはお客様が入り口付近に10人以上「まだかまだか」と並び、11時になると堰を切ったように店内に押し寄せます。この光景が13時半過ぎまで続くのです。(11:00~14:30(14:00OS))

オープン前の厨房では「料理は全て出したか?」「最後の盛り付けは出来ている?」「飲み物、食器類は大丈夫?」などおかみさん達の声が飛び交い、お客様へのおもてなしに抜かりがないよう、何度もみんなで確認し合い最高のチームプレイでお店がオープンします。

バイキングに来るお客様の7割以上は地域外の方、毎週来る常連客やツアー団体のお客様も多く、観光シーズンには予約客で席の半分以上占めることも珍しくないそうです。高知市内(車で2時間弱)や、遠くは愛媛県の端から3時間以上かけて80代の老夫婦がこのバイキングを目当てにわざわざ十和地区まで来られるのです。

正直、来場者の数字だけ見ると「ホントにこの山間地域の小さな集落にそんなに人が集まるのかしら?」と半信半疑でしたが、厨房やおかみさん達との会話、調理などを手伝ううちに、それはもう確信に変わり、私も、高知県や近隣に住んでいたら毎週通っているかもしれません。それぐらいこのおもてなしバイキングには価値があるのです。
おかみさんおもてなしバイキングの魅力、価値
バイキングのメニューは、おかみさん市メンバーが定期的に集まり、その時に採れる旬の食材などで決めて行きます。その、基本メニューを元に味・盛り付け・デザートなどグループごとに変わるので、それぞれのグループにファンも付いており、ファンに呼ばれ厨房から出てきたおかみさん達との会話で店内はいつも明るくにぎやかです。

メニューは、特別高い食材を使用しているとか(都会で購入すれば高い鹿肉や猪肉は有りますが)フレンチやイタリアンといったおしゃれな料理は全くありません。しかし、それこそがこの「おかみさんおもてなしバイキング」最大の魅力です。

おかみさん達は、みんな生産者であり主婦。旬の美味しい物や食べ方、保存方法も良く知っています。自宅の畑で採れる野菜や果物を手間暇惜しまず調理し(人気のイタドリの炒め物用のイタドリは春先に1年分収穫し、昔ながらの保存方法で一定量を保存、お味噌汁の味噌もナポリタンのトマトソースもほうじ茶、デザートも全部手作り)、お母さんが子供へ、おばあちゃんが孫に毎日食べさせたい安心安全、ほっこり懐かしく、心が温かくなる家庭料理なのです。

食材も無駄なく余さず使い、手際の良い丁寧な仕事ぶりに感動するばかりでした。バイキングだけでなく、出張餅つきで使うもち米やヨモギ、トウキビなどもおかみさんらが丹精込めて作った食材です。

そしてこのバイキングは10年以上、雨の日も雪の日も台風が来ても一度も休んだことはありません。たとえ一人でも遠くから来たお客様へ「楽しみにしていたのにお店が閉まっていた…」という悲しい想いをさせたくないというおかみさん達の優しさの現れです。
株式会社十和おかみさん市のもたらす様々な効果
これら「おかみさん市」の活動は、配偶者に経済面で全てを頼らずおかみさん達の直接収入になります。働く場所があることがおかみさん達のやりがいや生きがいやに繋がっているのです。バイキングを目当てに地域外から観光客が来ることで、近隣の直売所や沈下橋にも立ち寄り、間接的に地域経済が回り、目に見えている以外にもおかみさん市が作り出す効果は、はかり知れません。しかし、そんなおかみさん達も高齢の方が目立ちます。

おかみさんに「バイキングもイベントも年中あって、野菜も作っているし、休む暇ないようだけどしんどくないの?」と質問すると、どの人に聞いても「年々歳を取り体力も落ちるけど、それでもこのバイキングやイベントを通して、様々な年代のお客様との交流がすごく楽しい。遠い十和地区に毎週たくさんのお客様が来てくれる。正直、どっと疲れて、その時はしんどいと思うけど、みんなの美味しそうに食べる顔を見たり、ありがとうまた来るね!って、直接言われると、疲れもすっかり忘れてなかなか辞めること出来ないのよね~」と笑うおかみさんの目は、キラキラ輝き生き生きとし、真っすぐ純粋に前向きで、これからより少子高齢化、人材不足が進む地方、いいえ日本人にとって大切なことを教えてくれています。

地方創成の課題は山済みですが、「1人1人が出来るコト、当たり前のコトに光を当てどんなにつまずいてもみんなでコツコツと進んで行く。誰かが動いてくれるのを待つだけでは何事も始まらない。」
私自身も、これからこの経験を元に地元に戻り多世代が交流できる拠点作りに邁進していくつもりです。
お問合せ先

ふるさとプロデューサー育成支援事業(通称:ふるプロ)事務局 担当:内田/管野

TEL: 050-3733-2276